2008/10/24

フットボールキングダム



FIFA09アジア版を入手した。で、巷の評価をネットで見ていたら、いまさらフットボールキングダムに言及しているブログを見つけた。


雅のサカゲー研究所  次世代サッカーゲームの原石 その4


やぁ、なんつーかこういう「愛」は嫌いじゃないな。おれもひさびさにプレイしたくなった。

この方が言うように、フットボールキングダムというサカゲーは掛け値なしに革命的なサカゲーだった。リンク先の動画を見てもらえばわかるが、現行のサカゲーでも再現できない境地がそこにはあった。革命的といえば、まがりなりにも製品なのに「トライアルエディション」と謳って発売するその思い切りもそうだし*1、ボールを持たないプレイヤーを制御するのに取った方法論もそうだった。で、そこから生み出されたものは、




  • ゲームとしてはやや破綻ぎみ


    • 後述するAIの癖など、単に「勝つこと」を目的とするとクソゲー扱いされてもおかしくないものだった、と記憶している。また、ゲームモードの少なさやロード時間の長さといった「未完成感」もネガティブな印象を与えかねないものだった。



  • だがサッカー再現ツールとしては未だ最高峰


    • オフザボールの動き(特に攻撃側)が極めて優秀かつ自然なこと、コントローラ入力へのレスポンスのよさ、アナログ入力による自由度の高さ…


      • これにより、自由度の高さとリアルなサッカーで見られる展開の両立を実現していた。これ以前は「自由度は高いけどサッカーとは似ても似つかない何か別のスポーツ」か「サッカーっぽいけど操作した通りに選手が動いてくれない」のどちらかしか存在しなかった。


        • そしてそれは現在でも(程度の差こそあれど)変わっていない。



      • ただし局所的なAIはけっこうマヌケで、とくに守備面ではあまりよい出来ではなかった。キーパーなどアタフタ意味不明な動きをした挙句失点、ということもある。これが気になるひとは多いかもしれない。






という、異常に先鋭化されたものとなった。


発売後の評判は二極化した。絶賛する声があれば全否定する声もあった。どちらかといえば肯定的な意見が多かったように記憶している。おれは前者だったし、「続編」「完成品」のリリースを切望していたが、内心「次はないな…」と思っていたのも否定できない。なぜか?

これが明らかに「マスのニーズにはイマイチ合っていなかった」からだ。動画のように思い通りのパスサッカーを展開するにはかなりの練習量を必要としたし、「アラ」を探せば色々見つかってしまう程度の完成度…要は、利益を生み出すプロダクトとして次に繋がる要素が弱すぎたんだ。結局、フットボールキングダム以降、このゲームで得られる感覚を持つサカゲーは今に至るまで発売されていない。当時は続編をリリースせず、ウイイレ対抗として育てようとしなかったナムコに少なからず失望したのも確かだ。サカゲーという分野でウイイレが強烈に強かったのは、ゲームとしての完成度と同じくらい、いやそれ以上にその「歴史」によるものが大きかったわけで、その牙城を崩すには同様に歴史を積み重ねていくしかなかったのだから*2


ま、それはそれ。


このゲームについてもうひとつ特筆すべきことは、開発陣のサッカーへの愛情が極めて強かった。


Welcome to the Football Kingdom

当時の公式サイトだが、現状残っているコンテンツだけでもコラムあたりを見ればその熱さは伝わるのではないか、と思う。FIFAの開発陣は同じような「熱」を持っているんじゃないかなぁ。ウイイレは…どうだろう。昔はあったと思うが、今は正直感じられない*3


…いやぁ、なんつーか我ながら、暑苦しい独り善がりな記事を書いてしまったものだ。いい歳こいて恥ずかしいorz。でも、もしサッカー好きなら、今定価で買ってすら損はないゲームと断言できる。サッカー好き、サカゲー好きでこのゲームをプレイしていない、というのはかなり大きな損失だ。




*1:実際、トライアルエディションのみで追わってしまったは残念の極みだった


*2:現在、過去のどうしようもない駄作の連発にもかかわらず諦めなかったEAが、FIFAシリーズでその「歴史」を手に入れた、と思う。あとは国内における知名度だけだ。


*3:誤解を招きそうなので補足するが、「開発陣」とは主にプロダクトを統括するような連中をさしている。なんだかんだ言って、ゲームの方向性を決めるのはそういうポジションの人間たちだろう





2 件のコメント:

  1. ども、はじめまして。うろうろしてたらいい記事があったので、勝手にトラックバックさせていただきました。あの後久々にPS2を起動してプレイしたのですが、本当に今プレイしても見劣りしないのには驚きました。
    いやぁ、フッキンは開発陣の情熱がソフトからも伝わってくるよいサカゲーだったんですけどね。あのころのナムコは極端に利益にシフトしたころだったはずで、売上の少ないプロジェクトのメンバーへの報酬はがっつりカットされるため、みんな売れることがある程度保証された大作の続編へ行きたがるorとっとと転職していった、なんてことがあったと聞いています。
    今だとフッキン路線ではないにしろ、FIFAシリーズが「開発陣のサッカーへの愛情」が感じられるタイトルかなぁ、と思います。09は改善点と同じくらい不満なところもあるのですが、そういう姿勢が見られる限りは応援したいなぁ、と。
    サカゲーに関する新しい記事を楽しみにしていますので、楽しく更新できる限り続けてください、と勝手なお願いをしておきます(笑)

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  2. はじめまして、某サカゲー研究所の雅ともうします(笑)
    トラックバックいただきましてありがとうございます。
    文章読ませていただいて「マスのニーズにはイマイチ合っていなかった」
    という部分に大いに納得してしまいました。
    一昔前であれば開発人の情熱さえあれば続編が作れたのでしょうが
    今やゲーム開発も大企業的な仕組みの中で生まれるわけで…
    なんか面白くない時代になってしまったなぁーと思いますね。
    サカゲーについては細く長く研究を続けたいと思ってますので
    また遊びに来てくださいね。
    最後に「暑苦しい独り善がりな記事」
    これ私の心にもグサリと来ますねぇ(笑)

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