FIFA09アジア版を入手した。で、巷の評価をネットで見ていたら、いまさらフットボールキングダムに言及しているブログを見つけた。
やぁ、なんつーかこういう「愛」は嫌いじゃないな。おれもひさびさにプレイしたくなった。
この方が言うように、フットボールキングダムというサカゲーは掛け値なしに革命的なサカゲーだった。リンク先の動画を見てもらえばわかるが、現行のサカゲーでも再現できない境地がそこにはあった。革命的といえば、まがりなりにも製品なのに「トライアルエディション」と謳って発売するその思い切りもそうだし*1、ボールを持たないプレイヤーを制御するのに取った方法論もそうだった。で、そこから生み出されたものは、
- ゲームとしてはやや破綻ぎみ
- 後述するAIの癖など、単に「勝つこと」を目的とするとクソゲー扱いされてもおかしくないものだった、と記憶している。また、ゲームモードの少なさやロード時間の長さといった「未完成感」もネガティブな印象を与えかねないものだった。
- だがサッカー再現ツールとしては未だ最高峰
- オフザボールの動き(特に攻撃側)が極めて優秀かつ自然なこと、コントローラ入力へのレスポンスのよさ、アナログ入力による自由度の高さ…
- これにより、自由度の高さとリアルなサッカーで見られる展開の両立を実現していた。これ以前は「自由度は高いけどサッカーとは似ても似つかない何か別のスポーツ」か「サッカーっぽいけど操作した通りに選手が動いてくれない」のどちらかしか存在しなかった。
- そしてそれは現在でも(程度の差こそあれど)変わっていない。
- ただし局所的なAIはけっこうマヌケで、とくに守備面ではあまりよい出来ではなかった。キーパーなどアタフタ意味不明な動きをした挙句失点、ということもある。これが気になるひとは多いかもしれない。
- これにより、自由度の高さとリアルなサッカーで見られる展開の両立を実現していた。これ以前は「自由度は高いけどサッカーとは似ても似つかない何か別のスポーツ」か「サッカーっぽいけど操作した通りに選手が動いてくれない」のどちらかしか存在しなかった。
- オフザボールの動き(特に攻撃側)が極めて優秀かつ自然なこと、コントローラ入力へのレスポンスのよさ、アナログ入力による自由度の高さ…
という、異常に先鋭化されたものとなった。
発売後の評判は二極化した。絶賛する声があれば全否定する声もあった。どちらかといえば肯定的な意見が多かったように記憶している。おれは前者だったし、「続編」「完成品」のリリースを切望していたが、内心「次はないな…」と思っていたのも否定できない。なぜか?
これが明らかに「マスのニーズにはイマイチ合っていなかった」からだ。動画のように思い通りのパスサッカーを展開するにはかなりの練習量を必要としたし、「アラ」を探せば色々見つかってしまう程度の完成度…要は、利益を生み出すプロダクトとして次に繋がる要素が弱すぎたんだ。結局、フットボールキングダム以降、このゲームで得られる感覚を持つサカゲーは今に至るまで発売されていない。当時は続編をリリースせず、ウイイレ対抗として育てようとしなかったナムコに少なからず失望したのも確かだ。サカゲーという分野でウイイレが強烈に強かったのは、ゲームとしての完成度と同じくらい、いやそれ以上にその「歴史」によるものが大きかったわけで、その牙城を崩すには同様に歴史を積み重ねていくしかなかったのだから*2。
ま、それはそれ。
このゲームについてもうひとつ特筆すべきことは、開発陣のサッカーへの愛情が極めて強かった。
Welcome to the Football Kingdom
当時の公式サイトだが、現状残っているコンテンツだけでもコラムあたりを見ればその熱さは伝わるのではないか、と思う。FIFAの開発陣は同じような「熱」を持っているんじゃないかなぁ。ウイイレは…どうだろう。昔はあったと思うが、今は正直感じられない*3。
…いやぁ、なんつーか我ながら、暑苦しい独り善がりな記事を書いてしまったものだ。いい歳こいて恥ずかしいorz。でも、もしサッカー好きなら、今定価で買ってすら損はないゲームと断言できる。サッカー好き、サカゲー好きでこのゲームをプレイしていない、というのはかなり大きな損失だ。
*1:実際、トライアルエディションのみで追わってしまったは残念の極みだった
*2:現在、過去のどうしようもない駄作の連発にもかかわらず諦めなかったEAが、FIFAシリーズでその「歴史」を手に入れた、と思う。あとは国内における知名度だけだ。
*3:誤解を招きそうなので補足するが、「開発陣」とは主にプロダクトを統括するような連中をさしている。なんだかんだ言って、ゲームの方向性を決めるのはそういうポジションの人間たちだろう