2013/02/22

Path of Exile : 開発者インタビュー(雑訳文、前半)

とりあえずまたもや雑訳文。今度はGamemagというイタリアのゲーム系ウェブで公開されているインタビュー記事から。手をつけたはいいが果てしなく長いので2分割でお送りするのねん。ちょっと前に某所のスレッドで紹介されていたのだけど、これまでの歩みから現状、これからの展望まで割と色々なことが書いてある、よいインタビュー記事ですはい。

お約束:しつこく例によって無許可海賊版のため、以下の記述は前触れなしに削除される可能性があります。また、文中に誤りや矛盾があった場合は十中八九訳者の責によるものと思われます。正しい文章は原文を参照してください。

原文はこちら:Path of Exile dalla prospettiva degli sviluppatori。「開発者から見たPath of Exile」って感じかしら?いやあ、英語版もあってよかったよ…


Gamemag: ゲーム界隈でGrinding Gear Gamesは新顔ですし、イタリアのゲーマーに自己紹介をお願いします。

Brian Weissman: こんにちは! Grinding Gear Gamesは小さな独立系のゲームスタジオで、ニュージーランドのオークランド市ティティランギにあります。この会社は2006年、4人のメンバで設立され、最初の「スタジオ」はChris Wilsonのガレージにありました。この6年間、われわれはPath of Exileの規模や野望に合わせスタッフを増やしてきました。現在では25人を超える人々がフルタイムで働いています。Path of Exileは会社としての最初のプロダクトであり、われわれはこのゲームを最低でも今後10年の間は維持し改良していくつもりです。

Gamemag: Path of Exileは非常に野心的なプロジェクトですね。このアイデアはどのようにして生まれたのですか?

Brian Weissman: 創業者全員が生まれたときからのRPGファンで、20年を超えるプレイ経験を持っています。2000年代中盤、アクションRPGというジャンルには大きな創造性のギャップがあって、われわれは「自分たちでRPGを作れないだろうか?」と自身に問いかけはじめたのです。だんだんとその答えがイエスだということを理解したので、まず始めるための金融資本を持ち、それからGrinding Gear Gamesを設立して仕事を開始しました。

初期の計画は、おもにストーリーとプレイアビリティにフォーカスするもので、グラフィックスをことさら強調したものではありませんでした。われわれは、デザインの参考として自分たちの大好きなRPGのいくつかからゲームの要素を取り入れることを考えていました。時間がたち、われわれのチームが大きくなってくると、野望も大きくなりました。現在のPath of Exileには、その奥深く複雑なゲーム要素に十分見合うだけのグラフィックおよびアートデザインがあります。現状の見た目にはとても満足しています。

Gamemag: クローズドベータが終わり、オープンベータが開始されましたね。プレイヤーからどのようなフィードバックがあったのですか?どのくらいのプレイヤー数になっていますか?

Brian Weissman: 総合的にみて、プレイヤーの反応は大変ポジティブなものです! 1/23(水)にすばらしいスタートを切ると、10,000人もの人々が0.10.0クライアントにパッチを当てました。その多くが初めてこのゲームを試そうという人たちです。同時接続ユーザ数はその週を通して着実に増加し、日曜日にはピーク時で70,000人弱を記録したのです。このレベルは、われわれが検証していた最高予測より40%ほど高い値であり、プレイヤーが戦いを繰り広げているサーバ群にいくつかの問題が生じました。幸運なことに、われわれは一連のパッチをリリースすることができ、またサーバに対し安定性を目的としたアップデートを行うことができたため、月曜以降、サーバ群はほぼクラッシュフリーとなっています。

ゲーム自体に対するフィードバックもとてもポジティブなものです。Path of Exileが提供する新しいアイデア、たとえばスキルシステムや暗くザラついた雰囲気、息が苦しくなるような環境、信じられないほど深いアイテム面、ユニークなクラフティングおよび通貨システム、そしてもちろんその魅力的な1350超のノードを持つパッシブスキルツリー、といったもの全てをプレイヤーは好きになってくれています。ゲームメカニクスのなかにはその恩恵をフルに得るためには深い理解を必要とするものもありますが、われわれのコミュニティは初心者をガイドするのを助けるよう力を尽くしました。

Gamemag: 新しいオープンベータクライアントの入手性について、そこには多少の遅れがありました。それに対し、あなたたちはサーバのキャパシティを増加させ、短期間で問題を解決することでうまく対応しました。Path of Exileは完全に無料のゲームで、あなたがたが得ることのできるサポート源は任意のマイクロトランザクションのみです。この種のサポートは、場合によっては(わたしたちがあなたに願っていることですが)何百万にもなろうかというユーザをかかえることになるサーバを維持するコストとして十分なものだと思いますか?

Brian Weissman: もちろんです。われわれは、オープンベータへの移行に先立って道義的な小さな範囲のマイクロトランザクションのみを販売しましたが、それでもこのクラウドファンディングにおいて250万ドル以上を集めることができました。オープンベータが開始してからは、購入できるオプションを大きく増やしましたが、プレイヤーたちは購入することを非常に切望していました。もし、購入額がプレイヤー数ベースでスムーズにスケールすると仮定すれば、われわれは何百万のプレイヤーに対応できるよう拡張するのにあり余る資金を得られると確信しています。

Gamemag: ゲームの話に戻りましょう。最新のベータバージョンでAct IIIが追加されましたね。1.0リリース時にはいくつのActがあるのかもう決まっていますか?おおよそのプレイ時間はどのくらいになるか、既にアイデアを持っていますか?

Brian Weissman: ええ、プレイ時間はプレイヤーそれぞれのゴール、ソーシャルプレイへの姿勢、急速に上昇する難易度への対処能力、そしてゲーム経験によって大きく変わります。われわれは経験豊富なプレイヤーへ報いるため多くのシステムをPath of Exileに組み込んだため、その宿題を終えた人々は、このゲームを始めたばかりの人よりかなり大きな楽しみを得ることになるでしょう。

われわれは、8〜12時間程度で大部分のプレイヤーが難易度Normalでの最初のゲームをクリアすると見積もっています。そこからは坂道への挑戦で、難易度Cruelでのゲームクリアにはその2倍以上の時間がかかるかもしれません。プレイヤーが難易度Mercilessに到達するころになると、とくに装備が貧弱だったり、よりありそうなことですがビルドがよく最適化されていない場合は、ゲームの進捗が相当遅くなることに気付くでしょう。われわれは、プレイヤーが複数のキャラクターをリロールさせることを完全に意図しており、それはゲームを学習する過程の全ての部分です。

プレイヤーが難易度Mercilessをクリアするか、もしくはクリア前であっても、カスタマイズ可能なエンドゲームであるマップシステムを始めることができます。これらのマップはアイテムとして発見できるもので、チャレンジとその報酬を増やすために通貨アイテムを使って増強することができます。マップを使うと、独自のルールを持つ、特別でユニークな世界へのポータルを開くことができます。マップシステムは終わりがなく、ほぼ無制限のものです。このマップには、人々を数ヶ月にわたって専念させるのに十分すぎるほどのチャレンジとルートアイテムがあります。マップシステムの先には、キャラクターのレベル100という上限を設けており、それを達成するには数ヶ月、あるいは数年かかるでしょう。われわれがこのレベルキャップを設定したのは、もっとも熱心なプレイヤーに長期間にわたり努力するための何かを与えるためです。

Gamemag: あなたがたが作り上げたものの中で、もっとも成功したフィーチャーはなんでしょうか?

Brian Weissman: われわれはPath of Exileに盛り込んだ新機軸の多くを本当に誇りに思っていますが、その中のトップ3を挙げてみようと思います。順に、

1. パッシブスキルツリー。われわれは、キャラクターにもっともすばらしいレベルのカスタマイズを提供するため、このフィーチャーを実装しました。Path of Exileを長期にわたってプレイすることを想像したとき、われわれはひとびとが一人で多くのキャラクターを作成しても、それが仮に同じクラスのキャラクターを複数作ったとしても、そのどれもが完全に異なる装備をし、異なる方法で立ち向かうさまを心に描きました。われわれは、それが現実になったことにとても満足しています。プレイヤーたちが各々のビルドのセオリーを作っていくさまをどんどん読んでいくのは、本当に楽しいです。何人かはこのパッシブスキルツリーを最初は恐ろしいものだと感じたのですが、いったん先へ進んでしまえば彼らもすぐにその設定を変更するようになりました。われわれはPath of Exileのスキルツリーは、このゲームのコア哲学のひとつである「シンプルだが奥が深い」という点を捉えている、と感じています。

2. ユニークな通貨システム。このゲームから「ゴールド」的な通貨を取り除くと決定したとき、Grinding Gear Gamesは大きなリスクを取りました。結局のところ、ARPGスタイルのファンタジーゲームはみなゴールド制でしたから。そうですよね? われわれは早い段階で、違う方向性で行きたいということを決定し、そしてその結果にはこれ以上満足することはできなかったでしょう。平凡で一般的な通貨の代わりに、われわれのオーブシステムは本当の意味での交換経済を作りあげたのです。トレードチャットやフォーラムはアイテムを提示して取り引きしようという人々で溢れ、それはまるで巨大な仮想バザールのようです。また、オープンベータにおける現状の交換レートを表示する多くのサイトが登場しました。人々はレアやユニークアイテムを提示し、その価値を議論するページを作っています。われわれの通貨がゲーム内の消耗アイテムであるという事実は、インフレを抑制する大きな役割を果たしています。

3. 道義的に問題のないマイクロトランザクション。2010年9月、われわれが世界へ向けPath of Exileをアナウンスしたとき、われわれはそれに冒険的な約束を含めていました。将来のプレイヤーに向け、われわれのゲームは100%無料でダウンロード、プレイできるだけでなく、どんな状況でも決して「力」を売ることはしない、ということです。この時点ですでにわれわれは、GGGのサポートショップで他プレイヤーに対し直接のアドバンテージとなるものを購入するチャンスはない、ということを言ったのです。

スピードブーストやXPブースト、さらにゲーム内アイテムのように、「基本プレイ無料」のゲームでは当たり前のように提供される「pay to win」品の代わりに、われわれは見た目だけの「生活の質」を高めるようなアイテムのみを売るとプレイヤーたちに約束しました。これは、ゲームコミュニティにおいてある種懐疑的な受け取り方をされました。これではゲーム開発を継続するに十分なサポートを得ることはできない、と彼らは信じていたのです。幸いにも、われわれのプレイヤー層はこれに同意しません。我々は2012年4月にショップとクローズドベータへのアクセスを開始しましたが、最初の1週間で$250,000を得たのです。その年の終わりまでわれわれの「会員」は増加しつづけ、それはマイクロトランザクションを前もって購入し十分満足した人々の集まりでした。結局、オープンベータの開始までにわれわれはおよそ250万ドルを売り上げました。オープンベータ開始にあわせ、さまざまな「見た目だけ」のオプションを用意しましたが、プレイヤーたちはこれも同じように喜んで購入してくれています。われわれは、自身のビジネスモデルが成功したと強く確信していますし、数ヶ月先まで拡張しつづけます。

Gamemag: パッシブスキルツリーはこのゲームの最高のフィーチャーの一つですし、おそらくこの手のもので最も成功している実装でしょう。あなたがたはどのようにしてこれに辿りついたのですか?

Brian Weissman: 褒めてくれてありがとうございます。われわれも本当に誇りに思っています。このスキルツリーは、プレイヤーが特性を割り当てる作業を面白いものにしようというわれわれの努力の結果として考えられたものです。伝統的なRPGでは、レベルアップするたびに一定の能力ポイントが与えられました。それから、プレイヤーはよく考えることもせずある特性にそのポイントを振ります。なぜなら、そのキャラクターのクラスに応じて向いた特性が決まっていたり、特定の装備をするのに必要だからです。これは、誰もがちょっと我慢するような類の、退屈で代わり映えのしないメカニックです。

われわれもまた、プレイヤーが自身のキャラクターをどう成長させるかについて、完全な制御権を与えたいと考えていました。たとえば近接戦闘員としてMarauderの強さを純粋に伸ばしていくことを強制するのではなく、われわれのスキルツリーはスペルや弓、ワンドにすら手を出すことを可能としています。もしそれが合うと考えるのなら、あなたはそのクラスが行うように「デザイン」されていない何かを行うというのも、ちょっとしたペナルティを負うかもしれませんが、その選択肢はあるのです。われわれはこのパッシブスキルツリーを幾度となく試してみて、最終的に途方もないオプションを備えたバージョンに辿りつきました。一方で、クラスごとのアイデンティティについてのよい感じも残っています。

Gamemag: すぐにでも改良したいフィーチャーはありますか?

Brian Weissman: それについて、広範囲にわたるリストは確かに存在します。安定性や同期といったサーバの問題はつねに改善することができるので、ここではこれらの問題をリストから除外し、代わりに実際のゲームプレイに関する要素に焦点をあてます。

ただちに改善したいゲームプレイ要素の一番は、ゲームのアクティブスキルおよびサポート数の大幅な増加です。既に130を超えるスキルがありますが、追加されるスキルそれぞれがもたらすインパクトは大変なものです。スキルに相乗効果を与えたり増強するには多くの方法があるため、数個のスキルを導入するだけでも大量の新しいビルドが可能となります。新しいビルドはAPRGを新鮮に保つための核心なので、あなたが文字通り十分なスキルを持つことはできません。このために、われわれは来年の間、平均して毎週最低でも1つのスキルを追加したいと望んでいます。これは、2013年が終わるころには200近いスキルを誇る状態になっていることを意味します。われわれは決して作ることを止めませんが、新しいものを導入するのは最優先事項です。

次に洗練したい要素は、ゲームのアニメーションです。Path of Exile開発のかなり大きな部分で、ゲーム中の動きは一人の人間によってつけられました。ええ、今読んでいただいた通り、たった一人によって、です。正直なところ、彼がしなければならなかったその仕事量を考えれば、アニメーションのクオリティは驚くべきものです。しかし、改良できる点はたくさんあります。今、われわれは3人目のアニメーターを迎える過程にあり、彼が参加すれば、全般的なゲーム中アニメーションの洗練さは劇的に向上するでしょう。アニメーション上の制約により思い止まっているメカニクスはたくさんあるので、より多くのアニメーターを抱えることはゲーム全体を本当に強化することでしょう。

Gamemag: スキルジェムは独自のアイデアで、たいへんよく実装されていますね。さしあたり私が気になっているのは、各クラスごとに固有のスキルというものが存在していない、という点です。長期的に見て、これはどのプレイヤーもある決まったスキルジェムをセットするようになるという平坦化や、そのうち各クラスの差異が事実上なくなってしまうというリスクがあるとは思わないでしょうか?

Brian Weissman: これは開発陣の間でかなり議論となった問題です。以前はどのクラスもパッシブスキルツリーの中央からスタートする仕様だったので、クラスごとのアイデンティティははるかに大きな問題をかかえていました。結局、われわれはクラスごとにツリー上の場所を与えましたが、それでもその周辺に飛ぶことは簡単すぎました。

現在の実装では、スキルツリーに関する大部分の問題は解消されています。たとえば、TemplarがRangerやShadowのところから多くのノードを適切に得るのは、極端な傾向を取ります。それは確かに可能ですが、そのようなキャラクターを成長させるのにかかるコストは極めて高くつくでしょう。ほとんどの場合、STR/INT Templarと純粋なDEX Rangerくらいお互いに異なるクラスは、まったく異なるビルドとなるでしょう。

現時点で、われわれはビルドやクラスの多様性にかなり満足していますが、もしあなたが言うところの「平坦化」が大きな問題となりはじめたら、間違いなく何らかの変更を行います。継続して新しいスキルを導入したり、既存のスキルに調整を加えたりすることも計画いるので、どのようなビルドであっても、それが長期間にわたってトップに居座ることはありそうもないことです。

2 件のコメント:

  1. おお!forumだけじゃなく、インタビューまで翻訳してくださるとは!

    いいインタビューですよね、これ。後編も楽しみにしています。

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  2. ありがとうございます。

    ゲームプレイに関係する部分は日本語wikiの方が早く正確にやってくれると思うので、こういう周辺部を拾っていこうかと…w

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