2009/12/20

Forza Motorsport 3: Dan Greenwaltへのインタビュー記事が興味深い



2ちゃん本スレで見つけたレースシム系オンラインマガジンに掲載されていたDan Greenwaltへのインタビュー記事が大変興味深かったので、冒頭部分を日本語にしてみた。つっても無料の機械翻訳よりはまぁいいんじゃないの?って程度。誤訳や抜けも多々あるはず。原文はAutoSimSport – Volume 5, Issue 3 Out — VirtualR – Sim Racing NewsからPDFをダウンロードすることで参照できる。これで全体の1/4程度なので、これ以降は気力があれば…例によって無許可のため、いつなくなっても責任は持てない。






AUTOSIMSPORT:


前回のインタビュー(Vol 4 Num 3)で、あなたはトーヨータイヤから得られた情報のために、データをPacejkaの「マジックフォーミュラ」に合わせることができなかった、と説明しました。これはつまり、あなたが自分たち自身のタイヤ物理を構築しなければならなかった、ということを意味しています。Forza 3におけるこのモデルの改良について説明していただけますか?タイヤモデルという点で、我々がそこに期待できるものは何でしょうか?そして、その改良はどのように行なわれたのでしょう?





DAN GREENWALT:


Forza 3では、我々はPeugeot Sportsを通してMichelinと強い連携を構築しました。Peugeot Sportsは彼らのスポーツカー計画、LMPやその他車種においてMichelinと連携しています。この連携によって、我々はMichelinと高いレベルのパートナーシップを得ることができました。彼らは我々にレーシングカーだけでなく、市販車についても大量のテストデータを公開したのです。また、このパートナーシップにより我々はそこで何がどのように働いているのかを見出すため、彼らのエンジニアと話すことができました。Pacejkaの公式は今ではちょっと古くなっていますが、それはMillikenの著書にある優れたデータに基いたものです。我々のような開発者の大部分はMillikenの著書からスタートします。なぜなら、彼の著書が包括的なものだからです。





問題は、我々がこのテストデータを理論にうまく合わせられなかったことです。これは天候システムに似ています。天候には多くの変数が存在します。もし天気予報をしようとするのなら、もしあなたが気象学者になりたいのなら、あなたにはどんどん変化していく最先端の科学を知らなくてはなりません。完璧に正しいとは絶対になりませんが、可能な限り改善できるよう努力しつづけることになります。しかし、そこには多くのパラメータ、たとえば貿易風や「heat off the equator」などが存在しており、知っておかねばならないパラメータは年ごとにどんどん増えていきます。タイヤについても同じような状況なのです。





Forza Motorsport 3において、我々はタイヤの柔軟性を追加し、それをタイヤ温度(表面外側、内側、およびその中間)、ガスの温度上昇、タイヤのアスペクト比のような変数と組み合わせました。タイヤコンパウンドはサイドウォールの剛性に影響し、内圧の上昇とあわせ、荷重のかかったタイヤがどのように変形するかに影響します。これら全ては相互に関連しており、全ての変数が互いに影響しあいます。そのため、新しい要素のシミュレートを簡単に決定することはできず、これらの新しい要素を包含する新しいタイヤシステムを再構築する必要があります。





また、我々はForza 3にタイヤの「弾性」も導入しました。タイプは、サスペンションの上でそれ自身がバネのようにふるまい、ある程度のバンプを吸収します。そして、これもまたタイヤの柔軟性に組み込まれているものです。大部分のプレイヤーはこれによる違いを感じられないかもしれません。が、プロのドライバーなら感じられるでしょうし、この違いは不思議なことにゲームでのドライブを簡単にします。それは、より「シミュレーションより」にすることで、タイヤがより「柔らかく」なり許容度が広がるため、ドライブが容易になるからです。





AUTOSIMSPORT:


あなたは以前Forzaを「リアリスティック、直観性、そして楽しさの完全なバランスを備えている」と表現しました。Forza 3では、その点でどのように進歩したのか教えてください。特に、「直観性」という考え方は、開発者が「リアリズム」の観点から今まさに向かおうとしているところに思えます。つまり、自動車は高速でコントロールするのは比較的「簡単」ですが(我々はフェラーリを思いのままにぶん回し、昔のシムなら盛大にスピンアウトしてしまうほどの物凄いドリフトを決める、「Top Gear」のClarksonのような人々を見ています)、しかし…それはコンソールシムにおいて「楽しさ」の要素の大きな部分を占めているようにみえるドリフトを、たとえば7度ほどの角度で容易に維持できるという意味ではありません。もうちょっと的確な言い方をさせてください。60年代、バイアスタイヤで車はドリフトしながら旋回していたでしょう。しかし現代のタイヤでは、(曲がるために)最小のステア操作では車はドリフトしません。もし車がトラクションを失うと当然車はスライドしますが、しかしスライドやドリフトはあなたが過度に熱くなりそうなとき、もしくは熱くなりすぎてしまった時に起きてしまう現象です。ところが多くのコンソールプラットホームの「シム」では常にドリフトしているようにみえます。Forzaでは、この楽しさとリアリズムのせめぎ合いをどう整理していますか?





DAN GREENWALT:


トーヨータイヤやMichelinから得ることのできたデータから、我々は市販タイヤがかなり高いサイドウォールを持っており、またスリップアングルレシオが10~12度あたりになるまではフリクションのピークに至らないことがわかりました。これはつまりまだ十分に滑っていない車は、トラクションを失うことなしに10度ほどのヨー角を持つことになることを意味します。PCのレーシングシムを見ると、そこでは基本的にはレーシングタイヤのみですが、そのタイヤは3~4度ほどでピークとなり、車は少しのドリフト角も持つことができません。このことは、シムレーサーの要望を説明します。しかし市販タイヤはそのようには振る舞いません。市販タイヤはそれよりずっと大きなピークアングルを持っています。





しかし、私はコンソール機のレーサーを擁護しているわけではありません。私はレーシングタイヤのそれが市販タイヤのそれに比べかなり面倒なことを理解しています。タイヤの最大スリップアングルは、3~4度から12度までのレンジを持っているのです。高いサイドウォールを持った質の悪いタイヤ、たとえばトラック用タイヤなどでは、その車重の影響も受け、これが16度に達します。これは全てデータに基づくものです。「このシム対あのシム」という話をしているのではありません。我々はその「野獣」の性質全てをモデル化したのです。





直観性、楽しさ、リアリズムのバランスに関するあなたの質問に答えるため、インターフェイスを見てみましょう。Forza 3をホイールでプレイしているとき、あなたと走行中の車の間には何のバッファも存在しません。ホイール、スロットル、ブレーキとダイレクトにリンクし、現実の物理が働きます。しかしコントローラでプレイする場合、Forza 1 からForza 2、Forza 2からForza 3の間には、プレイヤーの意図を読むような大きな改良がなされています。たとえば、コントローラのスティックを左いっぱいに倒した時、必ずしも左いっぱいの操作を意図しているとは限りません。左いっぱいにしようとしているか、それを徐々にやろうとしているか、もし「ちょんちょんちょん」と入力しているのなら、ピークの8割くらいで操作したいのかもしれない。そんなわけで、我々はプレイヤーの意図を読む必要があるのです。その試みの結果、コントローラでのドリフトははるかに簡単に、そしてより直観的に行えるようになりました。ホイールでは、やりたいと思う操作をはるかに正確に行うことが可能です。一方コントローラでは、左いっぱい、右いっぱい、しばらく左いっぱいに切って中立、再び左いっぱいという入力になります。彼らは実際ロックトゥロックまで回したいわけではなく、ある一定の角度にしようとしています。我々はその意図を読む必要があるのです。





本質的に、我々はコントローラプレイヤーが望む操作を直観的にすることでドリフトをはるかに簡単にしました。彼らにとってより楽しめるものにしたのです。それらは同じ物理に基づくものであり、その物理はより「シムより」になっていますが、コントローラはより大きな「バッファ」を持ちました。






とまぁこんな感じで今日はここまで。


わかりづらいところを補足すると、Pacejkaのマジックフォーミュラっつーのはタイヤ周りの物理において、主にスリップアングルがある場合(タイヤの向きと進行方向がずれている場合)の振る舞いを定式化したもの。これ、既知の物理法則に基いて導き出されたものではなく、いわゆる経験則的なものなのだけど、どうも結構色々な状況で現実にフィットする。wikipediaによれば、「reasonably accurate, easy to program, and solve quickly.」だそうな。ゲームに導入するにゃこれ以上ないくらいよい特徴ですな。


で、Danはこれが「自分らが得られたデータとうまく合わなかった」と言ってるわけだ。そのためにタイヤの柔軟性(単にタイヤフレックスってした方がわかりやすいかな?)や弾性を考慮に入れた、ということらしい。面白いのは、このような取り組みによって「運転しやすくなる」と明言している点。これは体感にとても合うし、「タイヤのよじれがシミュレートされたからでは?」という意見を裏付けるものだ。


中盤から後半は訳の質が劣悪でまったくもってわからないかもしれないが(すみません…)、これも要はPacejka's Magic Formulaのお話をしている。


最後の方ではハンドルコントローラではなく、パッドによる操作性の調整について。Forzaシリーズはどんどん補正を(プレイヤーの意図を読む方向で)入れる方向で調整しているということを述べている。これには不満のあるひともいるかもしれないが、パッドの特性を考えたら仕方ないとおもう。むしろよくもまぁここまで調整した、というのが個人的な感想。





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