2012/05/23

DayZ : 善行と悪行

DayZは基本的に自由である。何をしてもいい。ゾンビの群れが徘徊する土地で生き延びること(だけ)が目的となっているが、実際のところこれだってあってないようなものである。

たとえば、市街地でゾンビに見つからないように物品を漁っているプレイヤーのそばを、ゾンビの群れを引き連れて駆け抜けたって構わない。もちろんそのプレイヤーもゾンビに見つかってしまうだろうがそんなことは知っちゃこっちゃない。自由なのだから。もっとも、自分も死んでしまう可能性が極めて高いが、それだってこっちの自由だ。

そんな自殺行為でなくてももっと直接的に、出会ったプレイヤーを片っ端から銃殺してやることもできる。

さて…

このように自由なDayZであるが、このままでは破綻するかもしれない。善行に対するインセンティブがほぼ皆無、かつ悪行へのペナルティがほぼ皆無だからである。ただでさえアポカプリティックな世界観で絶望的な状況、仮にこれがゲームではなく現実であったとしても人は簡単に「転んで」しまうシチュエーションだろう。ましてや社会的な制約もなく、心理的な障壁も低いゲーム内ではなおさらだ。

「いやいやいや、そもそもDayZはそういう世界観だからそれでいい」という意見はあるだろう。ただ、徒党を組んだ悪党がサーバを牛耳ってしまう、という状況に陥りうる作りなのは確かで、最終的には「わかってる連中(≒ちゃんとロールプレイ的に行動する人間)だけでプレイすれば楽しいが野良では遊べたものじゃない」ゲームになってしまう可能性もある。最初から全てのプレイヤーが信用できないという前提で行動するしかないのなら、このゲームは「フィールドがバカみたいに広くて食事だの何だの面倒付きのfree for all(bot入り)」に成り下がりかねない。

もちろん、このゲームはまだアルファ版という位置付けだ。開発元はこんな浅慮などとっくに検討済みで、違う未来が描けているのかもしれない。まだゲームとしてのバランスなんか後回しで、サンドボックスとしての完成度を上げたいというのが実際のところ、という気もする。そもそも、アルファ版にも関わらず昨今の「クローズドベータ」「オープンベータ」実施ゲームと比較してもかなり遊べるものになっていることで、プレイする側がちょっと高望みをしているのかもしれない。今は、その世界観に浸りながら色々変更、改善されていく様子を楽しむ、くらいのスタンスでいるべきなのだろう。

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